受託開発者のデザインメモ

現在学んでいる UX デザイン・サービスデザインについての振り返りや、自主的な調査活動について書いています。

自主調査 - アーティスト・イベント - TIF 2018

 

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調査概要

長らく間が空いてしまったのですが、昨年行った自主調査を今年も行ってきました。
対象は TIF (Tokyo Idle Festival) 2018 (TOKYO IDOL FESTIVAL 2018)
毎年夏にお台場で行われるアイドルイベントで、多くのアイドルグループとそのファンが集まる場所です。
 
今年は 08/03 (金), 04 (土), 05 (日) の 3 日間で、参加したのは最終日の 08/05 (日) のみです。
タイムテーブル:(TIMETABLE|TOKYO IDOL FESTIVAL 2018
 

調査計画

特に施策を検討するわけでもなく練習として実施するため、詳細な計画はしていません。
ざっくりと「この会場に来ている人は、どんな体験を求めているか」を調べるのが目的としました。
 

調査実施

調査方法も昨年度と同様で、時間・場所ごとに気になった人を観察し、その行動を手帳にメモします。(撮影禁止のため写真は無し)
メモした内容は、後日「KA 法」という手法で分析・可視化します。
 
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・1. 出来事:観察やインタビューから得た行動データ

・2. 心の声:1. で描いた出来事の状況を想像し、「ユーザの心の声」を一言で表現する

・3. 価値:1. と 2. を手掛かりにして、ユーザの価値を抽出する

 
 
以下ではカードの内容を記載します。
 

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分析

KA カードに書かれた「価値」の部分に着目し、ユーザ行為の全体像を把握するため「価値マップ」を作成します。
まずは KA カードの価値の欄を見て、類似している「価値」を KJ 法でグルーピングします。
その後、グルーピングした価値をまとめ、中分類を作成します。
 
作成された全体像は以下になります。

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全体としては、
a. 「現場で多くのアイドルのライブを楽しめること」
b. 「会場のどこに居ても楽しめること」
の 2 つになりました。
 
 
まずは前者 a. についてです。
 
・特定の場所・空間だから実現できる価値  
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こちらは通常の特定のアイドル向けのライブでも見られる行動ですが、
会場に入るや否や、手を振り上げたりコールを入れたりして、
その場に合わせるという行動です。
ライブ会場という特定の空間だからこそ起きるもので、
この事象自体に大きな発見はないですが、後ほど紹介する
ライブ外も含めた会場全体での楽しみとの比較のために上げました。
 
ただし、この中には複数の要素が見られ、それが次の 3 つのグループになります。
 
 
・応援しているアイドルの応援文化を自分たちで作れる価値

・他のアイドルファンにもアピールできる価値

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特定のアイドルのファンが自分達独自の方法で応援していたり、

ライブ後にファン同士でお互いに感想を述べ合っている事象についてです。

単一のアイドルのライブ会場だったらやはり大きな発見ではないのですが、

フェスと言う他のアイドルのファンも集まる場であるため、

少し捉え方を替えて他のアイドルファンに向けてのアピールをしているのだと解釈しました。

 

・お試し参加が出来る価値

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やや遠目にライブを見ている人や、少し遠慮がちに応援をしている事象についてです。

それほど熱心なファンではなくても、(個別の申し込み・応募をせずに)気軽に参加できるので、お試し参加できる価値があるのだと考えました。

 

また、先ほどのファン以外の人に向けてのアピールと一緒に捉えると、

「見本市」としての価値があると考えました。

 

 

・寄り道も含めた旅程を決められる価値

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これは、タイムテーブルを元に一日の明確なルートを決めているという事象からで、

自分で好きなようにルートを決められるという部分に価値があると考えました。

 

また、こちらは「厳密にルートを決めている」という事象ですが、

1 つ前のお試し参加と一緒に捉えると、「偶然の出会い」まで含めて

自分で選べるのではと思います。

ちょうど、ショッピングモールを周るような感覚で、

目当ての店とは別に、知らない店も見て周るイメージです。

 

 

ここまでがライブ会場での話ですが、

次は会場全体の話です。

 

・会場内の何処にいても楽しめる価値

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会場内を周っていると、今年は比較的待ち時間の発生する会場が多くあったのですが、
その間に待つだけになっているのが少し勿体ないと感じました。
また、休みながらライブを鑑賞する人も見受けられ、ライブ会場以外・周辺での楽しみ方が無いかと考えました。
 

現状もライブ以外に各アイドルの良さを知れるようなイベントは設けられていますが、

やはり会場に縛られてしまうため、違う方法で寄り道を設計できると良いかと思います。

 

ディズニーランドの良さはアトラクションだけでなく空気感があるかと思いますが、

アイドル現場での空気感的な楽しさは何があるのでしょう。

 

 

考察

今回の観察では、昨年とは異なる発見が得られるように注意しました。

 

その際、

・実際に行われている行動

だけでなく

・その場で行われていない行動

も見ようとしました。

(例:「待ち行列で盛り上がっていない」)

 

しかし分析の際には、価値として捉えて良いか少し迷いました。

「やっていない」というのは事実ですが、

「○○をしたい」というには根拠が少し弱いからです。

その片鱗(例:「小さくコールしていた」)でも見えれば良いのですが、

「耳を澄まして聞いていた」などになると、観察するのは難しそうだなと感じました。