受託開発者のデザインメモ

現在学んでいる UX デザイン・サービスデザインについての振り返りや、自主的な調査活動について書いています。

SPORTS UXthon - UXthon #1 feat. Athlete port-D

 

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 概要

10/24 (水) と 10/31 (水) で UX Design の Hackathon、UXthon に参加してきました。

https://uxthon.connpass.com/event/103182/

先日インタビューをテーマにしたイベントにお邪魔した際、
LT で登壇されていたアンカーデザインの木浦さんが紹介されていたのを聞いて、
興味を持ったので応募しました。

https://kur.jp/
https://note.mu/mikiok

(ちなみに今回の様子は以下の 2 つの記事に掲載
https://note.mu/mikiok/n/nfc5812023921
https://note.mu/mikiok/n/n25c028b1f5b3


UX デザインを学ぶ人は増えてきたけど、実践する機会がない人向けに開催されたイベントらしく、自分が欲していた機会でした。

今回は初回で、テーマは「アスリートの課題解決やスポーツ分野でのイノベーション創出」
Athlete Port-D (http://athlete-port-d.com/) というプロジェクトの一環として行われました。
(ドコモがスポンサーらしい)
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「Athlete port-D」は、 アスリート・コーチ・研究者などを
登壇者に迎えたトークセッションを通じて、アスリートの課題解決やスポーツ分野での
イノベーション創出をめざすプロジェクトです。
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イベントのスケジュールは以下です。
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Day 1
18:30-19:00 開場・受付開始
19:00-21:30 ユーザーインタビュー/インタビュー分析/アイディエーション
21:30-22:00 クロージング・撤収

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Day 2
18:30-19:00 開場・受付開始
19:00-21:00 プロトタイピング/プレゼンテーション
21:00-21:40 懇親会
21:40-22:00 クロージング・撤収
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ユーザ調査を元に施策を検討するという大枠だけ決まっており、
アウトプットなどは特に決められていません。


■ 1 日目

グループ分けは、UX デザインの実践度合いによって分けようとされていたのですが、
業務での経験者、2 年以上学んでいる人、という問いに誰も手が上がらず、
適当に作業用のテーブルの場所に散らばって決めることになりました。
(2 年以上学んでいたのですが、様子見で手は挙げず…)
同じグループになったのは UI デザイン専門の会社の方で UX を学んでいるという方と、
スポーツマネージメント会社の社長をされている方でした。

 

■ユーザーインタビュー

まずはインタビューの準備・設計です。

 

インタビュー対象者はプロやトップのアスリートで、
アメリカンフットボール
3x3 バスケットボール
・新体操
の 3 名が対象で、
30 分ずつ 2 名にインタビュー
(うち 1 名はインタビューで実施、もう 1 名は聞いているだけ)
という流れです。

 

この当日までスポーツがテーマであることは分かっていましたが、
何のスポーツをしている誰にインタビューするのかが分からず、
あまり事前準備はできなかったので、汎用的なフォーマットだけ作成していました。

とりあえず他の 2 人と各々の考えを相談していたのですが、
インタビュー実施まで差し迫っていたので(準備時間は 30 分もない)
フォーマットをベースに議論、大枠を決めました。

 

そして即インタビュー。

 

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対象者は新体操の日本代表経験者の方です。
時間が 30 分なのでかなり駆け足でやらなければならず、
一般的な作法は最早無視で、各々気になった事を気になったタイミングで質問しました。
幸い初めは自分が行ったので、大まかな流れは事前のフォーマットに沿って行うことができました。
あまり深堀はできなかったものの、とりあえずお困りごとは聞くことができた感じです。


■インタビュー分析/アイディエーション

インタビュー結果を元に分析。
ここでもスクリプトの書き出しなどする時間はなく、インタビュー時にポストイット
メンバーがメモしてくれていたものを元に簡単なカードソートを行い、
議論してフォーカスポイントを絞って行きました。

 

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注目したのは、インタビューの最後の方に話されていた
「新体操をやめる際、嫌いになって辞める人が多い」
という発言で、そこに一番思いを感じ、フォーカスするべき部分として、
取り上げました。

 

しかし、インタビュー時間が短かったため、理由の深堀ができず、
先日報道されていたような「スポーツ系のパワハラ」を例には挙げていたものの、
それが全てなのか、主たる原因なのかが分からない状態で議論が進んで行きました。

 

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・対象者
・目的
・ソリューション
を発表しなければならなかったので、とりあえずはインタビュー内で他に出て来ていた
「新体操が一般の人に広がらないので、キャリアがない」
「引退したら即終わり」
という発話から
「より一般の方に見て貰え、知ってもらうことで好きなままで辞めて貰えるのでは」
という仮説を立てました。

 

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そして、
「他の芸術・表現とコラボレーション」によって認知してもらい、
「競技者の苦労・涙のドキュメンタリーを見せる」ことにより理解してもらうという流れを提案して、
その日の発表は終わりました。


しかし、「嫌いになる理由」がやはりはっきりしなかったため、
後日スタッフの方経由でアスリートの方にメールで質問させて頂くことで、
次週へ繋げることにしました。

 

■ 2 日目

2 日目はハロウィン当日。
会場は渋谷にあるため、会場に行くのに人が多くてやや苦労しました。
ちなみに帰りは渋谷から乗るのは諦め、原宿まで歩きました。


■プロトタイピング

前回の結果を踏まえ、サービスのプロトタイプです。

 

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スタッフの方にお願いした質問は、当日会場に来て始まる直前に何とか来ました。
概ね以下の回答でした。
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パワハラもあるかもしれない
引退後のキャリアは指導者しかないが、もう新体操をやる気力がない
女性の競技なので、結婚・出産を機に遠のいてしまう
----------

ちなみに、メンバーの方がデスクトップリサーチをしてくれ、
とある体育大学の学生がトップクラスの新体操選手の引退理由を調べた論文があり、
やはりキャリアを考えて引退するのが多いのは一致していました。


そのため、キャリアを作るための施策を考えるべきなのですが、
議論の中で出て来たのは 2 つです。

1. 競争としての新体操だけではなく、 魅せるための新体操を行う
2. 競技者全員が参加でき、競技者同士の繋がりを作る

 

1. については、新体操に近しい他の競技でうまくいっている例として、
アイススケートを挙げ、競技の後にパフォーマンスを行なっていたり、
メダリストオンアイスのような興行に注目することで、
近しい活動ができないかを考えました。

 

一方 2. については直接キャリアに繋がらないですが、
日本代表をかけた「椅子取り合戦」の日々の中で競技者同士の繋がりがないため、
そこが普及に向けた活動が生まれにくいのではと考えたため、
競技者が平等に活躍できるように考えた点です。

その他に、スタッフの方を交えて施策を膨らませ、
・地方・観光地などの振興のために、屋外で新体操を行う
YouTube などで拡散
・参加者・依頼者が広がる
といった点を盛り込みました。


■プレゼンテーション

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アウトプットとしては、
・9 コマシナリオの短縮版
ステークホルダーマップ
・サービスのロゴ
を作り、発表しました。

 

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フィードバックは、Athlete Port-D のスポンサーであるドコモベンチャーズの方から頂きました。
自分のグループに関するフィードバックは以下です。
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カジュアル化・ハードルを下げる試みだったという理解

イベントコミュニティを運営しているが、壁を壊すのがテーマ
 これはスポーツ全般に共通
野球では、球場全体でエンターテイメントを行っている

スケートの様にエキシビジョンが参考になりそう
 新体操の体使いの素晴らしさを伝えるのはどうか
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スケートを参考にしたのは着眼点が妥当だったと思う一方、
スポーツ全体に共通、と汎用的な話に捉えられてしまったのが、
検討不十分だなと感じました。
フィードバックにあるように、新体操独自のポイントが出すべきでした。

 

■まとめ

初の Hackathon イベントでしたが、思ったよりはまとまりました。
帰り際に主催の木浦さんにぶっちゃけ結果はどうだったかを聞いたところ、
「今の時点ではまだ分からない」とのことでした。
サイクルを回すことが基本だからか、あまり初回だけでは良し悪しが分からないのかも知れません。

 

ちなみに、ドコモベンチャーズのフィードバックをくれた方以外にも、
会場で見ていたのですが、
「課題に対する施策がずれてないか?」とメモされていました。。。
課題への共感・理解、そして説明がまだまだと感じました。

 

 

自主調査 - アーティスト・イベント - ボーカル教室発表会 2018

調査概要

ここ数年お世話になっているボーカルスクールの先生がいるのですが、
そこの発表会があったため、動画の撮影係の傍ら観察を実施しました。
 
その先生は、元々は大きなスクールの中で講師をされていましたが、
現在は高円寺に個人で教室を開いています。
発表会の時間は 12:00-16:00 で 21 組の生徒が出演しました。
場所は同じ高円寺にあるライブハウスで、駅から 5 分程度の場所にあります。
ちなみに当日 08 月 25 日は高円寺阿波踊りの初日で、終演後の夕方には多くの人が通りにあふれてました。
 

エピソード・ストーリー

参加する生徒の中にはセミプロや事務所に所属する方がいるため、
撮影した写真はアップロードできません。
書き出した付箋のみで説明します。
 

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エピソード:会場に来ているお客さんが、壁に寄りかかりながら体でリズムを取ったり、手にしたサイリウムを軽く動かしたりと、小さな動きでリズムを取っている様子が見られました。

ストーリー:盛り上げ系の曲では手拍子することもありますが、基本的にはあまり目立たないようにしているのかもしれません。特定のアーティスト向けのライブとは真逆の感じですね。 
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エピソード:見に来ているお客さんの内、特に一人で来ているお客さんは、盛り上がろうとすると周りの目が気になるのか、辺りを見渡す行動が何度か見られました。

ストーリー:上記同様、特定のアーティストのライブではないので、周りとの一体感というのがあまり無く、応援がしづらいのかもしれません。 

 


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エピソード:
生徒が歌った直後や全体の終演後、生徒同士で会話したり声を掛け合っている様子が見られました。ストーリー:発表会においては、生徒がアーティストとファンの両方になるのだなと捉えました。

エリア

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エリア:
一般のライブではなく「生徒の発表会」のため、「皆で盛り上がって一体感を出す場」ではなく、「生徒同士のコミュニティを意識したコミュニケーション促進」の方が、場の方向性としては適切なのかもしれません。
 
ただし、今回生徒側の調査が十分にされていないですが、
セミプロの生徒にとってはライブな場の方が望ましいと思われるため、
その区切りが必要かもしれません。
 

考察

今回はエピソードが少なく、あまり十分検討できませんでした。
初めてではなく何度か見ている場所のため、観察ではなく眺めているだけに
なっていたのでしょう。
定期的にユーザー調査をしているサービス会社が、
「調査から得られる情報が少なくなったら、ユーザのことがある程度分かった状態」
という判断基準にしていましたが、さすがにまだ回数が少ない気がします。
 
もし追加で調査をやるとしたら、生徒さんや生徒の関係者にインタビューすると、
エピソードについてより詳しい情報が得られそうです。
 

自主調査 - アーティスト・イベント - TIF 2018

 

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調査概要

長らく間が空いてしまったのですが、昨年行った自主調査を今年も行ってきました。
対象は TIF (Tokyo Idle Festival) 2018 (TOKYO IDOL FESTIVAL 2018)
毎年夏にお台場で行われるアイドルイベントで、多くのアイドルグループとそのファンが集まる場所です。
 
今年は 08/03 (金), 04 (土), 05 (日) の 3 日間で、参加したのは最終日の 08/05 (日) のみです。
タイムテーブル:(TIMETABLE|TOKYO IDOL FESTIVAL 2018
 

調査計画

特に施策を検討するわけでもなく練習として実施するため、詳細な計画はしていません。
ざっくりと「この会場に来ている人は、どんな体験を求めているか」を調べるのが目的としました。
 

調査実施

調査方法も昨年度と同様で、時間・場所ごとに気になった人を観察し、その行動を手帳にメモします。(撮影禁止のため写真は無し)
メモした内容は、後日「KA 法」という手法で分析・可視化します。
 
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・1. 出来事:観察やインタビューから得た行動データ

・2. 心の声:1. で描いた出来事の状況を想像し、「ユーザの心の声」を一言で表現する

・3. 価値:1. と 2. を手掛かりにして、ユーザの価値を抽出する

 
 
以下ではカードの内容を記載します。
 

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分析

KA カードに書かれた「価値」の部分に着目し、ユーザ行為の全体像を把握するため「価値マップ」を作成します。
まずは KA カードの価値の欄を見て、類似している「価値」を KJ 法でグルーピングします。
その後、グルーピングした価値をまとめ、中分類を作成します。
 
作成された全体像は以下になります。

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全体としては、
a. 「現場で多くのアイドルのライブを楽しめること」
b. 「会場のどこに居ても楽しめること」
の 2 つになりました。
 
 
まずは前者 a. についてです。
 
・特定の場所・空間だから実現できる価値  
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こちらは通常の特定のアイドル向けのライブでも見られる行動ですが、
会場に入るや否や、手を振り上げたりコールを入れたりして、
その場に合わせるという行動です。
ライブ会場という特定の空間だからこそ起きるもので、
この事象自体に大きな発見はないですが、後ほど紹介する
ライブ外も含めた会場全体での楽しみとの比較のために上げました。
 
ただし、この中には複数の要素が見られ、それが次の 3 つのグループになります。
 
 
・応援しているアイドルの応援文化を自分たちで作れる価値

・他のアイドルファンにもアピールできる価値

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特定のアイドルのファンが自分達独自の方法で応援していたり、

ライブ後にファン同士でお互いに感想を述べ合っている事象についてです。

単一のアイドルのライブ会場だったらやはり大きな発見ではないのですが、

フェスと言う他のアイドルのファンも集まる場であるため、

少し捉え方を替えて他のアイドルファンに向けてのアピールをしているのだと解釈しました。

 

・お試し参加が出来る価値

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やや遠目にライブを見ている人や、少し遠慮がちに応援をしている事象についてです。

それほど熱心なファンではなくても、(個別の申し込み・応募をせずに)気軽に参加できるので、お試し参加できる価値があるのだと考えました。

 

また、先ほどのファン以外の人に向けてのアピールと一緒に捉えると、

「見本市」としての価値があると考えました。

 

 

・寄り道も含めた旅程を決められる価値

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これは、タイムテーブルを元に一日の明確なルートを決めているという事象からで、

自分で好きなようにルートを決められるという部分に価値があると考えました。

 

また、こちらは「厳密にルートを決めている」という事象ですが、

1 つ前のお試し参加と一緒に捉えると、「偶然の出会い」まで含めて

自分で選べるのではと思います。

ちょうど、ショッピングモールを周るような感覚で、

目当ての店とは別に、知らない店も見て周るイメージです。

 

 

ここまでがライブ会場での話ですが、

次は会場全体の話です。

 

・会場内の何処にいても楽しめる価値

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会場内を周っていると、今年は比較的待ち時間の発生する会場が多くあったのですが、
その間に待つだけになっているのが少し勿体ないと感じました。
また、休みながらライブを鑑賞する人も見受けられ、ライブ会場以外・周辺での楽しみ方が無いかと考えました。
 

現状もライブ以外に各アイドルの良さを知れるようなイベントは設けられていますが、

やはり会場に縛られてしまうため、違う方法で寄り道を設計できると良いかと思います。

 

ディズニーランドの良さはアトラクションだけでなく空気感があるかと思いますが、

アイドル現場での空気感的な楽しさは何があるのでしょう。

 

 

考察

今回の観察では、昨年とは異なる発見が得られるように注意しました。

 

その際、

・実際に行われている行動

だけでなく

・その場で行われていない行動

も見ようとしました。

(例:「待ち行列で盛り上がっていない」)

 

しかし分析の際には、価値として捉えて良いか少し迷いました。

「やっていない」というのは事実ですが、

「○○をしたい」というには根拠が少し弱いからです。

その片鱗(例:「小さくコールしていた」)でも見えれば良いのですが、

「耳を澄まして聞いていた」などになると、観察するのは難しそうだなと感じました。

 

 

自主調査 - 美容室の値段について

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高円寺の美容師オーナーさんとの定期飲み。
色々雑談をしていると、前回と同じように美容室のサービス・経営の話になりました。
(まあ、自分が掘ったのですが…)

 
今回は「値段」について。

  

その美容室の値段設定は、高円寺の中では比較的高い方らしいのですが、昔は周りの美容室と同じ値段だったのが、情報誌・サービスなどへの掲載によってどんどん周りが下がっていき、結果として周りより高くなったそうです。
しかし、高くなった今現在でも、それによってお客さんが減ることはないそうです。
前回の話 に出てきた取り組みによるものだと思いますが、1 つ興味深かったのは、「値段が高いと、クレームは来なくなる」らしく、逆に「値段が安いと、クレームが来やすい」のだそうです。
払う値段によってお客さんの層が変わるのでしょうか。

 

ただし、クレームが来ないのはメリットばかりではなく「満足しないといきなり来なくなる」というデメリットがあるらしく、逆にクレームがくる場合は「駄目な点が分かり、対応次第で引き留められる」というメリットはあるそうです。

 

そのため、このお店では「お直し券」を用意しており、満足しなかった場合はカット・パーマに関わらず無料で直してもらえます。
月に 5 件程は利用があるらしく、その成果もあってか今は全くクレームが来ないそうです。

お客さんとしては「クレームを入れる」「美容室を変える」の代わりに取る選択肢が増えるので、心理的にも良さそうですね。

 

 
また、その美容室では、スタイリストに対してアシスタントが付いていますが、他の美容室ではアシスタントがいない店もあるそうです。

そこではスタイリストが洗髪から全て 1 人で行っており、アシスタントからスタイリストを育てる、という事をしていないとのこと。

理由としては、そのような美容室ではオーナーがスタイリストに場所を貸すという形態になっており、給料についても月給制ではなく、スタイリストの売り上げからオーナーが一定の割合で引く形になっているそうです。

このような契約の場合、アシスタントは売り上げを上げないので確保できません。
また、オーナーとしては少しでもお客さんに来てもらった方が収益になるので、どんどん値段を下げます。
その結果、客単価は下がり、スタイリストは多くのお客さんを担当しなくてはならず、かなり厳しい働き方になるのだそうです。

 

 

美容業界の競争はコンビニ同様厳しいらしいので、どうしても価格競争に流れやすいのでしょう。

 

X Design Academy Basic #06 発想法

X デザイン学校 Basic 6 回目の授業は「発想法」。

予定では「構造化シナリオ法」となっていましたが、変わったようです。
昨年の UX 講座の方でやったことはあるのですが、理解するにはややこしかったので、省略したのでしょうか…


発想法講義

前回まででユーザの調査・分析をやりましたが、今回の発想法ではそこから少し離れるような内容でした。

発想法のポイントはいくつかありますが、文脈を大事にするよりも、新しいものにジャンプすることに重点を置いているようです。

(余談ですが、HCD は元々 Usability から生まれた分野なので、発想というプロセスが無いらしいです)

 

例えば、「組み合わせ」という点では、Yahoo の 孫正義さんが「音声」と「翻訳機」という 2 つの内容を組み合わせ、「音声付き翻訳機」を発明したという例があります。
Siri や Google Assistant が出ている今では当たり前に思えますが、当時は新しくて画期的なアイディアだったのでしょう。

 

また、「リフレーミング」では、ある事象について意味の捉え方を変えます。
「電車が目的地に遅れた着いた」という事象については、「遅れたので、残念な気持ちに会った」というのが通常の捉え方(フレーミング)ですが、「遅れたけど、大事故に遭わずに済んだ」という捉え方がリフレーミングになります。
(なんだか、心理学・自己啓発のようです…)

 

逆転による発想

まずは発想法に慣れるため、「逆転による発想」というワークを行いました。


テーマを決め、それについての「最悪なシナリオ」を複数書いていきます。
(例えば、「カフェ」がテーマの場合「コーヒーが不味い」)
次に、「素直な発想」として、通常の解決方法を考えます。
(上記例の場合、「コーヒーがうまいカフェ」というのが通常の解決の方向)
そして今度は「逆転の発想」として、「最悪なシナリオ」を違う視点で捉えます。
(上記例の場合、「飲むまで何フレーバーか分からない」というものが一例。
 美味しくするのではなく、味を分からなくすることで、違う価値を見出している)


自分たちのグループは「旅行」がテーマでしたので、「最悪な合宿」について考えて行きました。
書いた例としては、最悪シナリオが「合宿所の設営から始まる」で、素直な発想は「一流ホテル並みに綺麗なコテージ」ですが、逆転の発想は「大学生が皆で一緒に作り上げる一大青春イベント」です。

 

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色々思いつきはするのですが、これまで文脈を意識するワークが多かったせいで、「これでいいのかな?」という疑問ばかり浮かんでしまいました。
論理的なことばかり追っている人は発想が苦手らしいのですが、自分はそのようです…

 

仮想カタログ

その後、「仮想カタログ」の作成に入ります。
企画中のサービスについて、アイディアを視覚化するというもので、それを人に見せることでアイディアの共有・検証・提案ができます。

記載する内容としては
・ユーザへの価値(リードコピー)とサービス概要
・価値のある 3 つの特徴
・サービス情報・スペック
があります。

例として、パンフレットのようなイメージを見せて貰いました。


これを書く際に、これまでやって来た調査結果や、先の発想ワークの結果をまとめて、
提供するサービスを考えるのですが、なかなか思いつかず。
どうしても既存のサービスや、今すぐできるサービスしか出てきませんでした。

行き詰って講師の方に相談すると、

「導き出した本質的欲求価値にフォーカスして、そこを掘り下げると良い」

とコメント。
それに対して、「(未来的ではない)今現在できるようなサービスしか思いつかないのですが」と疑問を伝えると、

「以前に言われた制限を持ったままだと行き詰るので、忘れて良い」

とのことでした。

 

言われたものの、「ユーザ調査の結果からかけ離れたものになるのでは?」と不安になるのですが、「調査・分析」と「発想」は明確に分け、それぞれを行き来するような考え方が良いのかもしれません。
(結果が出てないので、まだ良いという実感はないですが)


その後、アドバイスの通り「やりたいことと我慢のバランスを取る」という価値に注目し、「普通はできない贅沢・特別な体験をする」という方向でサービスを検討し、発想カタログを作成しました。

 

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とりあえず作ったという段階なので、次回までにブラッシュアップして、可能であればペルソナ該当者に見せてフィードバックを得てきます。

 

自主調査 - 美容室における人間中心設計

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(写真とテーマは何の関係もありません。)
 
自主調査という程の話ではないのですが、先日あった話を。
 
髪を切りに行く時、6 年ほど前から高円寺の美容室に通っているのですが、その美容室は今年 12 年を迎え、高円寺ではかなり長い部類に入るそうです。
他の美容室の人からも一目置かれるくらいなのですが、特に値段を下げたりしているわけではなく、普通の値段でやっているとのこと。
 
 
先日その店のオーナーと飲みに行ったとき、HCD の講義で聞いたインタビューの話をしてみました。
それは、
「ベテランの美容師は、その時はお客さんが納得しないけれど、後から『やっぱりこっちの方が良いな』と思う髪形を提案できる」
という話なのですが、
「ピンポイントな提案ができる美容師は少ないし、育てるのが難しい」
と言い、以下のような話をしてくれました。
 
==============================
・お客さんが店に来続けてくれるかは、美容師としての「技術」ではなく、「この人になら切って貰ってもいいな」という「関係」になること。
 それは初対面で決まるので、お店では笑顔や清潔さなどの「行動指針」を大事にしている。
 
・以前、家電屋に行ったときに 4K テレビを勧められた。
 よく分からないし、どんなにすごいのか分からないがそんなもの要らない。
 そんなことより、リモコンが使いやすい方が自分には大事。
 その時、美容室も同じだなと思った。
 
・美容師のクリエイティブさを発揮するより、初対面で笑顔でいることと、髪の悩みを聞く方が大事。
 自分たちは髪のプロなのだから、それができるし、信頼に繋がる。
 クリエイティブさを求めるのお客さんは、来てくれる人のうちほんの数パーセント。
  だから、ホームページにはカットモデルの写真も無い。
 例えだが、相手の望むピンポイントの髪型にしても、一緒に飲みに行こうという関係にはならない。
 
・一回でピンポイントの髪型に出来なくても、そのお客さんが何度も来てくれるなら、ピンポイントに合わせるチャンスが生まれる。
 
・極端な話、髪を切らなくても、お客さんに「納得」してもらえれば良い。
 ものすごい剛毛の人に「絶対直せます」とは言えない。
 素直に「直せません」と言ってあきらめて貰うと、「じゃあどうしよう?」と次にも行ける。
 
・ただし、悩みを聞くからと言って、人のライフスタイルには入らない。
 月 1 回、多くても年に 12 回しか会わない人に、プライベートなことを話すのは鬱陶しいはず。
 
==============================
 
・強み(クリエイティブさ)ではなくニーズ(悩み)を把握すること
・相手(お客さん)とラポールを築いてインタビュー(髪のカウンセリング)すること
など、HCD の講義を聞いているみたいでした。
 
安定しているお店は、ユーザニーズをきちんと把握しているし、顧客との関係性がしっかりしているようです。
 

X Design Academy Basic #05 ペルソナ作成と上位下位関係分析

X デザイン学校 Basic 5 回目の授業は「ペルソナ作成と上位下位関係分析」。


前回の授業後、グループの各メンバーが 1 人ずつ本番のユーザインタビューを実施しました。
今回はその結果を元に、ユーザについての分析を行っていきます。

作るものは、
・価値分析
・ペルソナ
・エクスペリエンスマップ
の 3 つで、通称「UX 3 点セット」と呼ばれるそうです。
(恐らく、山崎先生界隈の話だと思いますが…)

 

価値分析

価値分析には上位下位関係分析法を用いました。
この授業が始めるまでにインタビューの書き起こしを行っていたので、それを元に気になる行動・考え方などを付箋に書き出します。
書き出した付箋はユーザにとっての意味や状況に沿ってグルーピングしていき、本質的な欲求・価値を導きます。

 

インタビュー対象者は 6 名いましたが、今回はこの中から近いと思われる 3 人に絞って実施しました。

 

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この手法は昨年度から何度か実施しており、自分でもこだわり(?)を持ってやってはいるのですが、なかなか意味のある情報が抽出できず本当に難しいです。
浅野先生からは「雑味が残るように」と言われており、自分では「文脈を残すことが雑味に繋がる」と理解して、付箋に書くときは細かく書いている(つもり)ですが、上に上がる(グルーピングしていく)につれ、シンプル過ぎる欲求になってしまいます。

 

加えて、今回のワークでは残念ながら声の大きい人の意見に流された印象で、他の人の発言を遮り気味に主張するなどしたため周りのメンバーの視点が十分に入れられず、またでき上がった結果に満足して終わってしまい、ラダーアップした結果(個々の行動・考えからまとめ上げた本質的欲求価値)を、ラダーダウンして確認する(本質的欲求価値に個々の行動・考えが当てはまっているか確認する)こともされませんでした。
抽象的な情報をまとめているのでたくさんの捉え方(グルーピングの仕方)が考えられ、丁寧にやりたい所でしたが、ワークショップ特有の時間の短さによる難しさと、ファシリテーションがアウトプットの質に影響するということを実感しました。

 

実際の業務でやる場合には、場をコントロールできるように、UX・サービスデザイナーとして権威を持つことが大事で、そのためには、自信を持てるように正しいやり方を覚える必要があるなと考えさせられました。
ただし、これについては
・プロトタイプ志向(完璧を求めず、何度も繰り返す)
・道具を持ちすぎる人は使えない
という考えと逆行するため、一概に言えないなとも思います。

 

ペルソナ

次にペルソナの作成です。
価値分析の対象にした 3 名から代表的と思われる人を 1 名選び、その人の情報を元にペルソナを作ります。 

 

記載する項目としては、
・基本情報
・役割(ユーザロール)
・目標(ユーザゴール)
があります。

その場では簡易的な情報のみを記したペルソナを作成し、後から正式なペルソナを作成するようにしました。

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エクスペリエンスマップ

最後にエクスペリエンスマップの作成です。
カスタマージャーニーマップとも言われ、ユーザの体験を視覚化するものです。
横軸は時間軸で通常変わりはないですが、縦軸は行動・思考の他、プロジェクトによって必要な情報を入れて行きます。

 

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今回のインタビューでは、テーマに関するジャーニーマップを描けるような情報は聞いていませんでしたが、ペルソナが行いそうな行動・思考を想像で記載していきました。


こちらも宿題で肉付けしていくことにしましたが、元となる情報があまりないため、かなりふわふわしており、意味のあるものになったかは不明でした。
特に指示が無くても調査として当たり前なものと捉え、インタビューの時に聞いておいた方が良かったかもしれません。

 
宿題ではこの 3 つを完成させ、次回は発想法に臨みます。