受託開発者のデザインメモ

現在学んでいる UX デザイン・サービスデザインについての振り返りや、自主的な調査活動について書いています。

SPORTS UXthon - UXthon #1 feat. Athlete port-D

 

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 概要

10/24 (水) と 10/31 (水) で UX Design の Hackathon、UXthon に参加してきました。

https://uxthon.connpass.com/event/103182/

先日インタビューをテーマにしたイベントにお邪魔した際、
LT で登壇されていたアンカーデザインの木浦さんが紹介されていたのを聞いて、
興味を持ったので応募しました。

https://kur.jp/
https://note.mu/mikiok

(ちなみに今回の様子は以下の 2 つの記事に掲載
https://note.mu/mikiok/n/nfc5812023921
https://note.mu/mikiok/n/n25c028b1f5b3


UX デザインを学ぶ人は増えてきたけど、実践する機会がない人向けに開催されたイベントらしく、自分が欲していた機会でした。

今回は初回で、テーマは「アスリートの課題解決やスポーツ分野でのイノベーション創出」
Athlete Port-D (http://athlete-port-d.com/) というプロジェクトの一環として行われました。
(ドコモがスポンサーらしい)
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「Athlete port-D」は、 アスリート・コーチ・研究者などを
登壇者に迎えたトークセッションを通じて、アスリートの課題解決やスポーツ分野での
イノベーション創出をめざすプロジェクトです。
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イベントのスケジュールは以下です。
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Day 1
18:30-19:00 開場・受付開始
19:00-21:30 ユーザーインタビュー/インタビュー分析/アイディエーション
21:30-22:00 クロージング・撤収

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Day 2
18:30-19:00 開場・受付開始
19:00-21:00 プロトタイピング/プレゼンテーション
21:00-21:40 懇親会
21:40-22:00 クロージング・撤収
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ユーザ調査を元に施策を検討するという大枠だけ決まっており、
アウトプットなどは特に決められていません。


■ 1 日目

グループ分けは、UX デザインの実践度合いによって分けようとされていたのですが、
業務での経験者、2 年以上学んでいる人、という問いに誰も手が上がらず、
適当に作業用のテーブルの場所に散らばって決めることになりました。
(2 年以上学んでいたのですが、様子見で手は挙げず…)
同じグループになったのは UI デザイン専門の会社の方で UX を学んでいるという方と、
スポーツマネージメント会社の社長をされている方でした。

 

■ユーザーインタビュー

まずはインタビューの準備・設計です。

 

インタビュー対象者はプロやトップのアスリートで、
アメリカンフットボール
3x3 バスケットボール
・新体操
の 3 名が対象で、
30 分ずつ 2 名にインタビュー
(うち 1 名はインタビューで実施、もう 1 名は聞いているだけ)
という流れです。

 

この当日までスポーツがテーマであることは分かっていましたが、
何のスポーツをしている誰にインタビューするのかが分からず、
あまり事前準備はできなかったので、汎用的なフォーマットだけ作成していました。

とりあえず他の 2 人と各々の考えを相談していたのですが、
インタビュー実施まで差し迫っていたので(準備時間は 30 分もない)
フォーマットをベースに議論、大枠を決めました。

 

そして即インタビュー。

 

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対象者は新体操の日本代表経験者の方です。
時間が 30 分なのでかなり駆け足でやらなければならず、
一般的な作法は最早無視で、各々気になった事を気になったタイミングで質問しました。
幸い初めは自分が行ったので、大まかな流れは事前のフォーマットに沿って行うことができました。
あまり深堀はできなかったものの、とりあえずお困りごとは聞くことができた感じです。


■インタビュー分析/アイディエーション

インタビュー結果を元に分析。
ここでもスクリプトの書き出しなどする時間はなく、インタビュー時にポストイット
メンバーがメモしてくれていたものを元に簡単なカードソートを行い、
議論してフォーカスポイントを絞って行きました。

 

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注目したのは、インタビューの最後の方に話されていた
「新体操をやめる際、嫌いになって辞める人が多い」
という発言で、そこに一番思いを感じ、フォーカスするべき部分として、
取り上げました。

 

しかし、インタビュー時間が短かったため、理由の深堀ができず、
先日報道されていたような「スポーツ系のパワハラ」を例には挙げていたものの、
それが全てなのか、主たる原因なのかが分からない状態で議論が進んで行きました。

 

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・対象者
・目的
・ソリューション
を発表しなければならなかったので、とりあえずはインタビュー内で他に出て来ていた
「新体操が一般の人に広がらないので、キャリアがない」
「引退したら即終わり」
という発話から
「より一般の方に見て貰え、知ってもらうことで好きなままで辞めて貰えるのでは」
という仮説を立てました。

 

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そして、
「他の芸術・表現とコラボレーション」によって認知してもらい、
「競技者の苦労・涙のドキュメンタリーを見せる」ことにより理解してもらうという流れを提案して、
その日の発表は終わりました。


しかし、「嫌いになる理由」がやはりはっきりしなかったため、
後日スタッフの方経由でアスリートの方にメールで質問させて頂くことで、
次週へ繋げることにしました。

 

■ 2 日目

2 日目はハロウィン当日。
会場は渋谷にあるため、会場に行くのに人が多くてやや苦労しました。
ちなみに帰りは渋谷から乗るのは諦め、原宿まで歩きました。


■プロトタイピング

前回の結果を踏まえ、サービスのプロトタイプです。

 

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スタッフの方にお願いした質問は、当日会場に来て始まる直前に何とか来ました。
概ね以下の回答でした。
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パワハラもあるかもしれない
引退後のキャリアは指導者しかないが、もう新体操をやる気力がない
女性の競技なので、結婚・出産を機に遠のいてしまう
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ちなみに、メンバーの方がデスクトップリサーチをしてくれ、
とある体育大学の学生がトップクラスの新体操選手の引退理由を調べた論文があり、
やはりキャリアを考えて引退するのが多いのは一致していました。


そのため、キャリアを作るための施策を考えるべきなのですが、
議論の中で出て来たのは 2 つです。

1. 競争としての新体操だけではなく、 魅せるための新体操を行う
2. 競技者全員が参加でき、競技者同士の繋がりを作る

 

1. については、新体操に近しい他の競技でうまくいっている例として、
アイススケートを挙げ、競技の後にパフォーマンスを行なっていたり、
メダリストオンアイスのような興行に注目することで、
近しい活動ができないかを考えました。

 

一方 2. については直接キャリアに繋がらないですが、
日本代表をかけた「椅子取り合戦」の日々の中で競技者同士の繋がりがないため、
そこが普及に向けた活動が生まれにくいのではと考えたため、
競技者が平等に活躍できるように考えた点です。

その他に、スタッフの方を交えて施策を膨らませ、
・地方・観光地などの振興のために、屋外で新体操を行う
YouTube などで拡散
・参加者・依頼者が広がる
といった点を盛り込みました。


■プレゼンテーション

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アウトプットとしては、
・9 コマシナリオの短縮版
ステークホルダーマップ
・サービスのロゴ
を作り、発表しました。

 

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フィードバックは、Athlete Port-D のスポンサーであるドコモベンチャーズの方から頂きました。
自分のグループに関するフィードバックは以下です。
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カジュアル化・ハードルを下げる試みだったという理解

イベントコミュニティを運営しているが、壁を壊すのがテーマ
 これはスポーツ全般に共通
野球では、球場全体でエンターテイメントを行っている

スケートの様にエキシビジョンが参考になりそう
 新体操の体使いの素晴らしさを伝えるのはどうか
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スケートを参考にしたのは着眼点が妥当だったと思う一方、
スポーツ全体に共通、と汎用的な話に捉えられてしまったのが、
検討不十分だなと感じました。
フィードバックにあるように、新体操独自のポイントが出すべきでした。

 

■まとめ

初の Hackathon イベントでしたが、思ったよりはまとまりました。
帰り際に主催の木浦さんにぶっちゃけ結果はどうだったかを聞いたところ、
「今の時点ではまだ分からない」とのことでした。
サイクルを回すことが基本だからか、あまり初回だけでは良し悪しが分からないのかも知れません。

 

ちなみに、ドコモベンチャーズのフィードバックをくれた方以外にも、
会場で見ていたのですが、
「課題に対する施策がずれてないか?」とメモされていました。。。
課題への共感・理解、そして説明がまだまだと感じました。