受託開発者のデザインメモ

現在学んでいる UX デザイン・サービスデザインについての振り返りや、自主的な調査活動について書いています。

自主調査 - 美容室における人間中心設計

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(写真とテーマは何の関係もありません。)
 
自主調査という程の話ではないのですが、先日あった話を。
 
髪を切りに行く時、6 年ほど前から高円寺の美容室に通っているのですが、その美容室は今年 12 年を迎え、高円寺ではかなり長い部類に入るそうです。
他の美容室の人からも一目置かれるくらいなのですが、特に値段を下げたりしているわけではなく、普通の値段でやっているとのこと。
 
 
先日その店のオーナーと飲みに行ったとき、HCD の講義で聞いたインタビューの話をしてみました。
それは、
「ベテランの美容師は、その時はお客さんが納得しないけれど、後から『やっぱりこっちの方が良いな』と思う髪形を提案できる」
という話なのですが、
「ピンポイントな提案ができる美容師は少ないし、育てるのが難しい」
と言い、以下のような話をしてくれました。
 
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・お客さんが店に来続けてくれるかは、美容師としての「技術」ではなく、「この人になら切って貰ってもいいな」という「関係」になること。
 それは初対面で決まるので、お店では笑顔や清潔さなどの「行動指針」を大事にしている。
 
・以前、家電屋に行ったときに 4K テレビを勧められた。
 よく分からないし、どんなにすごいのか分からないがそんなもの要らない。
 そんなことより、リモコンが使いやすい方が自分には大事。
 その時、美容室も同じだなと思った。
 
・美容師のクリエイティブさを発揮するより、初対面で笑顔でいることと、髪の悩みを聞く方が大事。
 自分たちは髪のプロなのだから、それができるし、信頼に繋がる。
 クリエイティブさを求めるのお客さんは、来てくれる人のうちほんの数パーセント。
  だから、ホームページにはカットモデルの写真も無い。
 例えだが、相手の望むピンポイントの髪型にしても、一緒に飲みに行こうという関係にはならない。
 
・一回でピンポイントの髪型に出来なくても、そのお客さんが何度も来てくれるなら、ピンポイントに合わせるチャンスが生まれる。
 
・極端な話、髪を切らなくても、お客さんに「納得」してもらえれば良い。
 ものすごい剛毛の人に「絶対直せます」とは言えない。
 素直に「直せません」と言ってあきらめて貰うと、「じゃあどうしよう?」と次にも行ける。
 
・ただし、悩みを聞くからと言って、人のライフスタイルには入らない。
 月 1 回、多くても年に 12 回しか会わない人に、プライベートなことを話すのは鬱陶しいはず。
 
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・強み(クリエイティブさ)ではなくニーズ(悩み)を把握すること
・相手(お客さん)とラポールを築いてインタビュー(髪のカウンセリング)すること
など、HCD の講義を聞いているみたいでした。
 
安定しているお店は、ユーザニーズをきちんと把握しているし、顧客との関係性がしっかりしているようです。