受託開発者のデザインメモ

現在学んでいる UX デザイン・サービスデザインについての振り返りや、自主的な調査活動について書いています。

自主調査 - アーティスト・イベント - 高円寺阿波踊り 2017

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調査概要

前回の自主調査では初めてエスノグラフィを用いて調査を行いました
初めての試みで上手くはいきませんでしたが、とにかく場数をこなすのが目標のため、今後も継続させて行きたいと思います。
 
そして今回も調査を行いましたが、調査対象に選んだのは高円寺の阿波踊りです。
  
毎年 8 月の最終土・日の 2 日間で行われ、
 参加連:のべ 169 連
 観客動員数:88 万人(2016 年実績)
と、多くの人が集まるイベントです。
駅周辺の道路・通り・商店街などを使い、8 箇所の演舞場でそれぞれ色々な連が練り歩きます。
 
今回の調査目的も、前回同様以下のようにしました。

==================================================

目的:「新しい種類のイベントを検討するため、ユーザニーズを調査する」
- ファンが何に興味を持ち、支持するようになるか
- どのようなイベントに参加したいと思うか
==================================================
 
調査日は 2 日目にあたる 08/27 (日) です。
 

現地調査実施

今回は、前回使った「KA 法」ではなく、PARC (PARC, a Xerox company) の提供するワークショップ「エスノグラフィを利用したイノベーション・ワークショップ (IWS)」
で教わった方法・プロセスに従って行います。
 
初めに現地で行う調査については前回とそれほど大きく違いは無く、気になった事象を記録するというものです。今回は現場の性質上、比較的写真が撮りやすいので、カメラでの撮影によって記録を行いました。
  

デブリーフィング

現地調査終了後、撮影した写真を元に、観察内容(=エピソード)を書き出します。
この時点では、とにかく見た出来事についてただ書き出すだけです。
 
(付箋が汚いので…)それぞれ簡単に説明します。
 

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会場の通路脇には座り立ち見の人達が約 3 列ずつ居ました。座りの人たちは、ござやシート、簡易椅子などを持って来て、花見のようなスタイルで見物していました。

 

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テーブル替わりだったのか、瓶ビール(?)のケースを肘置きに使っている人もいます。

 

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会場近くの住宅やお店のベランダなどから見物する人もちらほらいました。

(ただし、そこまで多いという感じではないです)

 

 

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沿道のシート上では、子供たちが踊りに飽きているのか、UNO がテーブル上に広げられていました(なぜかハンドスピナーも…)

  

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商店街にある演舞場では、人だかりが多く人の密度も高いため、子供連れのお父さんが肩車をしたり抱え上げたりして見えるようにしています。

 

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演舞場では連が一方通行で進んで行きますが、終わりの方に来ると楽器の音が一層大きくなり、周りの見物客も団扇で扇ぎながら一緒になって盛り上がっていました。
(ライブのペンライトを想像したのは私だけでしょうか。。。)
 

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ある演舞場の終端地点では、多くの人がスマフォで踊りの様子を撮影していました。カメラで撮影する人もいますが、圧倒的にスマフォが多い感じです。

 

 

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花火大会などでは浴衣の人が多いイメージですが、今回の会場に来ている人は浴衣の人が少ない印象でした。普通の夏の恰好ですね。
 

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写真は会場に向かう途中の一方通行の場所ですが、交通規制で車が通らないためか、親子が道路の真ん中で広々と遊んでいます。
 

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高円寺では元々そういう風習なのかもしれないですが、地面に座り込んでいる人が多かったです。子供たちだけかと思いきや、大人も一緒に座り込んでいます。

 

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沿道脇の一つのシートでは、椅子をテーブル替わりにしていました。モザイク上から分からないですが、青い椅子に牛丼が乗っています。

 

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演舞場に面した居酒屋さんは始まる前から混んでおり、踊りが見えない席にも関わらず満席でした。踊りを見るために軽く食べる、という感じではなく、しっかり食べながら楽しんでいるようです。
 

ストーリーの検討

デブリーフィングが終わったら、エピソード(=観察内容)から「ストーリー」を紡ぎます。ストーリーとは「エピソードの集まりで、観察対象を表す特徴的な事象」です。
 
ちなみに上記で述べたエピソードのまとまりは、ストーリー単位にまとまっています。
 

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これは子供に関するストーリーです。
「会場やその付近では、子供に阿波踊りを楽しませようと肩車や抱え上げている様子が見られた。一方、子供達で集まると踊りを見ずに他の遊びをしているケースもあり、家族全員で阿波踊りを楽しむことが十分にできていない」
 
 

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こちらはエピソードが一枚だけから作ったエピソードなので、少々浅いです。
「会場の出口付近は一番盛り上がる場所で、応援する人も撮影する人も集まりやすい」
 
 

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こちらは阿波踊りに直接関係の無い部分についてです。

「演舞場近くの飲食店では、踊りが見えない席にも人が入っている。また、会場でも多くの人が食べ物を抱えて見物している。踊りそのものではなく、雰囲気を楽しむ人が多いと思われる」

 

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こちらは観覧についてです。

「高円寺は住宅も多く、会場付近には建物から見られる場所も多いが、実際にその位置から見ている人は多くなく、出来るだけ会場近くに行って見たい人が多いと思われる」

 

エリアの検討

次はストーリーを元に「エリア」を決めます。エリアとは「ステークホルダーが取り組むべき課題や機会を客観的に記述したもの」です。明らかに問題であるものや、メッセージ性のあるものなどが考えられます。

 

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 「住宅も多く、家族で見に来ることが多いイベントだが、子供が十分に楽しめるとは言い難い。子どもが積極的に参加できるようにデザインすることが望ましい。」

より家族向けに焦点を当てたエリアです。どのイベントでも家族連れは子供が楽しめるかが重視されるので、現実的なテーマかと思われます。(逆に言うと捻りはないですが…)

 

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「多くの人が集まる一方、最前の方で踊りを見ている人以外は、通常の一般的な祭りとあまり変わらない見物の仕方になっている。阿波踊りらしい関わりを検討し、差別化したい」

そこまで問題になるのかは不明であり、少々こじつけ感はありますが、阿波踊りらしい部分を見物者が得られると、より良くなると考えました。常連の方へのインタビューなどができると、より深掘りして確認できたかなと思います。

 

考察 

本来のワークでは、複数出てきたエリアの中から、特に注目するべきエリア(=フォーカスエリア)を選び出します。

そして、そのフォーカスエリアについてアイディエーションを行い、解決方法やイノベーションイデアを考えて行きます。

 

今回のワークではそこまではやりませんでしたが、個人的には「子供連れの阿波踊り参加」について興味があります。スケジュールや交通整理などの課題はありそうですが、連と連の間や一定間隔ごとに子供が演舞場を通るなどすれば、家族でのイベントへの参加具合が上がるかなと思います。

 

まとめ

今回は前回とは違って、写真を使って記録しました。手軽に記録はできますが、現場で撮影していると惰性で撮影することもあり、前回に比べて「何が問いか?」が曖昧になる感じがしました。
 
また途中にも書きましたが、観察だけでなく対象者に直接インタビューしたい気持ちにしばしばかられました。特に明確な問いがあるわけではないですが、ベテランにインタビューすることで見える視点もあるのかなと思いました。
 
 

X Design Academy Basic #04 UX リサーチのための認知科学入門

前回に引き続き、ユーザ調査について。
 
パイロットテストフィードバック
前回の講義では調査計画を立てたので、各グループそれを元に 1 名だけパイロットテストを行っていました。
そのため、まずパイロットテストの結果についての報告と、事前に提出していた調査時の動画についてフィードバックから始まりました。
 
自分のチームは、インフォーマント(調査対象者)に
・1 日の出来事を記入したシート
・「大切だと思うもの」を撮影した写真
の 2 つを事前に提出してもらい、それらを元に 1 時間 30 分程度のインタビューを実施しました。
 
パイロットテストは筆者が実施。
インフォーマントは仕事で繋がりのある方です。
 
事前にお願いした提出物についてはいずれも丁寧に対応して貰い、インタビューで取っ掛かりとして使いました。
インタビューはこれまでも何度か行ってきましたが、「深堀り」の仕方が難しく、「一通り話を聞いた」というところで終了してしまいました。
 
そんなことを見抜いてか、先生からのフィードバックは「問いの関連性が無い」との指摘。
一つ一つ質問は聞いていたが、全体として「この人の価値観は?」という質問には答えられない、とのこと。
出来ていないことは認識していたものの、正解(は無いと思うのだが、より良い結果)が分からないので、「どう質問するべきか」聞いてみると、「その人に興味を持つこと」との回答。
「自分だったら…」という前置きで、
「何故?」
「どういうきっかけで?」
「その時どう思った?」
「どんなサポートがあった?」
「将来的にどうして行きたい?」
など、先生の口からは矢継ぎ早に色々な角度の質問が出てきました。
 
事前にたくさん想定の問いは用意していたけど、その場で出てきた話に対しては、まるで問いかけができていないことを認識。
質問例を聴いて、これまで自分が「銀の弾丸」的な質問にこだわり過ぎていたなと感じました。
先生から出てきた問いは特に変わったものではなく、全て普通の問いだと思うので、それらを参考にしつつ、ある程度汎用的な問いの例を持っておき、次回以降試そうと思います。
 
 
 
認知科学入門
講義の方は、タイトルにある通りインタビューの際に役に立つ認知科学の知識について。
人の認知特性に基づき、いくつか聞き方の注意点を聞きました。
総じて言うと、インフォーマントにもインタビューアにも「先入観・前提知識」があるので、それに気を付けながら聞くべき、と言う話です(もっと細かい要点はありましたが)。
これに関しては、頭に入れながら場馴れしていくしかないですね。
 
 
今回の宿題は、次回までに各メンバー 1 人ずつインタビューを行い、スクリプトを書き起こすこと、です。
基本的にはインタビュー時間 x 3 倍かかるのでかなりハードです。。。
 

自主調査 - アーティスト・イベント - TIF 2017

 

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背景

UX デザインの講座では、手法を教わる際に「習った手法は 100 回練習しろ」言われます。
デプスインタビューについては、知り合いなどに協力して貰って何度か実施してきましたが、エスノグラフィについてはワークそのものや、結果についての評価の難しさからあまりやって来なかったので、機会を見つけて練習することにしました。

 

練習であるため、何か大きな目的を持っているわけではないですが、大雑把に言って「閉鎖集団の中に入って社会システム(常識)を発見する」のがエスノグラフィのため、「都内で行われる何かしらのイベント」を継続的に観察するフィールドとして選ぶことにします。
ジャンルを選ばなければ時期によらず色々な種類のイベントが行われており、カメラを向けるのも不自然でないので行動しやすいだろうとの考えです。
(余談ですが、練習を続ける決意のためにデジタル一眼を購入しました。どちらかと言えば形から入る主義です。ちなみに、初回のフィールドは撮影禁止でした。。。)
 
 

調査概要

初回の観察対象に選んだのは TIF (Tokyo Idle Festival) 2017。
毎年夏にお台場で行われるアイドルイベントで、多くのアイドルグループとそのファンが集まるイベントです。
 
今年は 08/04 (金), 05 (土), 06 (日) の 3 日間行われ、
・出演アイドル
 総勢 233 組・1,475 名
・来場者数
 8/4 (金) 21,338 名
 8/5 (土) 32,787 名(TIF史上最高動員)
 8/6 (日) 27,253 名
 3 日間合計 81,378 名(過去最高)
と、かなり大規模なイベントになっています。
 
一般の音楽イベントよりアーティスト・ファンともにかなり特徴的であり、調査対象として選ぶと洞察が得られ易い特徴的なユーザ(=エクストリームユーザ)であるもと思われるため、観察しがいがあると思って対象に選びました。
 
ちなみに、筆者も「私立恵比寿中学」というアイドルグループのファンで、ファンクラブに入会して 2 年ほど経ちます。
そのため、観察対象については、ある程度予備知識を持っている状態です。
 
 

調査計画

今回は特に事前のデスクトップリサーチなどはせず、直接現地に行って観察を試みました。
しかし、何も目的を立てないと観察対象がはっきりしないため、以下のような目的を立てました。

==================================================

目的:「新しい種類のイベントを検討するため、ユーザニーズを調査する」
- ファンが何に 興味を持ち、支持するようになるか
- どのようなイベントに参加したいと思うか
==================================================
 
特定の種類のアーティスト (J-pop, アイドル、演歌歌手)やイベント(ライブ、コンサート、フェス)だけに制限すると現状の改善にしかならず、また継続的な練習も困難になってしまう、調査のレイヤー(抽象度)は「イベント全般」としました。
 
 
今回は最終日の 08/06 (日) を観察日に選びました。
ステージは複数あって、同時進行で次々ライブが進んでいきます。
 タイムテーブル: http://www.idolfes.com/2017/timetable/
それぞれのステージを 15 分~1 時間程度見て、次のステージへと移っていきました。
 

調査実施

調査中は、時間・場所ごとに気になったユーザを観察し、それを手帳にメモしていきました。

ステージやアイドルの撮影は禁止のため、写真はありません。

メモした内容は、後日「KA 法」という手法で分析・可視化しました。
 
KA カードというカードにそれぞれ以下の内容を記載していきます。
 
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・1. 出来事:観察やインタビューから得た行動データ

・2. 心の声:1. で描いた出来事の状況を想像し、「ユーザの心の声」を一言で表現する

・3. 価値:1. と 2. を手掛かりにして、ユーザの価値を抽出する

 
 
以下では時間・場所の情報と共に、カードの内容を記載します。
 
[11:00 船の博物館]
会場に到着
 
[11:15 ①HOT STAGE HOT - SUMMER スタジアム] 
一番広いメインステージ。
しばしばテレビで流される映像もこのステージのライブのことが多く、比較的知名度の人気のアイドルだけが立てるステージです。
 

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[11:45 ②HEAT STAGE - Zepp DiverCity]
大型のライブハウス
こちらも比較的大きめのライブハウスで、上記のステージの次に来るくらい注目されるステージです。
 

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[12:00 フードコート]
会場内にある施設で、イベントに関わらず常時用意されている場所です。
 

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[12:10 ⑩GREETING AREA - 青梅第二臨時駐車場]
グッズの販売や、握手会などを行うスペースです。
 

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[13:45 ④DOLL FACTORY ― フジテレビ湾岸スタジオ M2]
フジテレビ湾岸スタジオ内の屋内ステージ
こちらもライブハウスです。

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[14:45 ③SMILE GARDEN ― フジテレビ湾岸スタジオ 横 公園]
野外ステージ
1 つ目のステージよりは小さいですが、芝生でフェス間のあるステージです。

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[15:00 ⑤SKY STAGE ― フジテレビ湾岸スタジオ 屋上]
建物の屋上でかなり高いところにあるステージです。
景色もかなりいいです。

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[16:00 ④DOLL FACTORY ― フジテレビ湾岸スタジオ M2]
私立恵比寿中学の妹分「桜エビ~ず」を見るついでに、再度訪問。

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[17:00 セントラル広場]
ステージを移動する際に良く通る、会場全体のほぼ中心位置の広場です。
 

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[17:20 ⑥FESTIVAL STAGE ― ダイバーシティ東京 プラザ2Fフェスティバル広場 ]
ダイバーシティ東京プラザに隣接するフリーステージ。
比較的狭いですが、通りがかりに目を止めるお客さんが多い場所です。
 

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分析

観察後、観察中にメモした行動データを元に、以上の様に KA カードを作成しました。
 
次に、KA カードに書かれた価値に着目し、ユーザ行為の全体像を把握するため「価値マップ」を作成します。
KA カードの価値の欄を見て、類似している「価値」を KJ 法でグルーピングします。
さらに、グルーピングした価値をまとめ、中分類を作成します。
 
通常は KA カード(と該当する写真)をプリントアウトし、それらを手で動かしながら行いますが、今回は自分だけのワークのため、全て Excel 上で行いました。
 
最終的にできた全体像は以下になります。

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全体としては、「一体感を求めること」と、「観覧するアイドルを選択できること」が価値としてでました。
TIF というイベントの性質上、妥当な価値だと思われますが、目新しい価値でもありませんでした。
 
 
各グループでの価値は以下になります。

・祭りの雰囲気を味わう

 

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この 2 つのカードは一見対照的に見えますが、それぞれイベントの雰囲気を楽しんでいるように見えます。
その表れが動的か静的かはユーザによって異なるため、それぞれケアできることが望ましいでしょう。
 
・好きなものの共有

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イベントは主目的である「アイドルを見る事」とは別に「ファン同士が集まる機会」にもなっています。そして、それは好きなことを自分の中だけでなく「他人と共有したい」という気持ちの表れでもあると捉えました。
ファン同士の交流を促す施策があると、新しい体験が提供できるかもしれません。
 
 
・一体感を楽しむ

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会場では必ずしも「アイドルが歌って踊り、ファンが応援する」という関係ではなく、運営者(プロデューサー・マネージャー)とファンの間のコミュニケーションや、ファンがアイドルの演奏に積極的に関与する(ファンが歌う・踊る)ような行動がみられます。
そのため、アイドルとファンの他に「MC」や「DJ」的な振る舞いをする人、が入ると、新しい体験になるかもしれません。

 

 
・複数アーティストの観覧

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多くのアイドルが出演するのが TIF の特徴ですが、そのため「観覧するアイドルの選択」が一つの価値になっていると思われます。
例えば、アイドルにも多様性(色んなコンセプトのアイドルがいること)があるので、アイドル同士が競争するイベント(歌や踊りだけでなく、ゲームなどでも良い)や、逆にアイドル同士で何かを作り上げる(これも歌や踊りだけでなく、演劇・作品作りなどもある)をすることで、ファンが複数のアイドルを楽しめるかもしれません。
 
 
・距離感選択の自由

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これも対照的なカードですが、ファンによって楽しみ方の距離が異なるというものです。
とにかく近づいてアイドルに認知されたいファンと、
遠くからでも良いので肉眼で見ていたいファン。
 残念ながら後者のやや控えめなファンについては、行動に表れにくいので、インタビューなどで深掘りしないと価値観が見えてこないですが、アイドルとの距離感を変えられる、ということが何か提供できる体験のバリエーションに繋がるかも知れません。
 
 
・アーティストの応援

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一見、上記で述べた「ファン・アイドル・運営の一体感」についての価値ですが、もう少し突っ込んで「ファンが積極的にアイドルの歌・踊りに関わりたい」という価値があるかもしれません。
 
 

考察

今回は観察期間が 1 日だけのため、他のイベントとの共通点という視点では何かを見出すことは出来ませんでした。

今後、近しいイベントを見た時に再度振り返りたいと思います。

 

また、今回のテーマである「アイドル」については、少なからず自分で当たり前だと思い込んだ部分があり、記述に上げなかった行動がありました。
例えば、応援の仕方として様々なコールや振りがありますが、それらの違いをあまり考慮していませんでした。

自分が知っている(と思っている)ものの調査では、どうしてもバイアスがかかるものなので、今後の調査では気を付けたいです。

 

まとめ

個人的には、アイドル同士での作品作りや、ファンが曲を作り上げるというのは、何か面白いかもと思いましたが如何でしょう。
 
イベント運営者、アイドルのマネージャーなど、関係者の方からのコメントお待ちしています。
 

X Design Academy Basic オフィスアワー - 2017/07/27

X Design 学校では授業や業務の相談をするために、しばしばオフィスアワーが設けられます。

講座が始まってから 2 回目になりますが、今回は自分たちの班もアドバイスを貰うために秋葉原校へ伺いました。

場所は DMM.make.Akiba でそこの一室に入居しており、Advanced コースの方々は会議室などで講義を受けるらしいです。

https://akiba.dmm-make.com/#access

 

前回までに作ったビジネスモデルキャンバスや、今後行っていく調査について意見を伺いました。

 

キャンバスについては、ターゲットを「これからシニア層になる 55 歳 ~ 60 歳」としていましたが、

「お年寄りだけで旅行に行くのはそもそも普通にやっている」

「お年寄りだけでいくより若者と一緒に行った方が面白い」

らしく、お年寄りだけをターゲットにしていることに違和感があるようでした。

もともとはシニア層を選んだのは、ビジネスオーナーの「新規顧客を開拓したい」という意図にあわせて、学生もしくはシニア層の中から後者を選んだのですが、シニアを含めた広い範囲でターゲットを考えた方が良さそうです。

 

また、シニア層のイメージとして、「退職後に何をしたいかが見えていない」という想像をしていましたが、

「今のシニア層は皆趣味やコミュニティを持っている」

「趣味・コミュニティを持っていないのは、シニア層に対する古いイメージ・妄想」

とのことでした。

 

正直ここについては自分たちの想像だけで判断したのではなく、デスクトップリサーチをする中で趣味・コミュニティのある層と無い層の 2 つがいたため、一概には言えないのでは?と思いました。

(調査を鵜呑みにするのも良くはないですが。下記リンク先参照)

dentsu-ho.com

現状どちらの考えが正しいか?を考えると、どちらも正しそうですが、

「これから定年という区切りはなくなり、ずっと緩やかに続いていく」

という話を聞く中で、仕事と私生活の境が薄くなると、より多くの人が趣味やコミュニティを持つようになるのかなと思いました。

 先のことを考える際、10 年後のことを考えるべきなのに、2,3 年後の変化を考えてしまっているのかもしれません。

 

 

また、調査については、Cultural Probe を追加すると良いとの意見を貰いました。

(下記参考)

コンテクストを読む ーCultural Probehidematsubara.wordpress.com

Cultural Probe 自体は幅広い調査法であり、きちんとした理解ができていないのですが、回答する側が楽しく、論理的だけでなく感覚的な回答も可能な調査法のようです。

今回はその中から「一番大事なものを写した写真」を 3 枚持って来てもらい、それについてインタビューする、という調査を行うことにしました。

これによって、インタビューイーの価値観などが深掘りできるかと考えています。

 

 

X Design Academy Basic #03 UX リサーチ設計

X デザイン学校 Basic 3 回目の授業は「UX リサーチ設計」。

 

前回立てた未来のビジネスモデルを元に、対象となる顧客についての機会探索を行っていくのですが、今回はその準備として調査計画を立てました。

今回の講師は奥泉直子先生。


質的調査で代表的なものは、デプスインタビュー、エスノグラフィ、日記調査と 3 つあるのですが、それぞれ利点・欠点があり、これらを必要に応じて組み合わせて使うとのこと。

去年も「トライアンギュレーション(方法論的複眼)が重要」とは言われていましたが、「質的調査だけでなく量的調査についても意識すること」をイメージしていたので、さらに「質的調査の中でも複数の調査方法の使い分ける」というのが新しい視点でした。
 

また今回の調査では、調査計画書やリサーチガイドを作成しました。

 

これまで調査を行ったことがあるのはワークショップやアイデア出しの時だけであり、

計画書でクライアントに何を・どの程度報告するのか分からなかったのですが、

具体的な項目を知ることができて非常に参考になりました。

とはいえ、それほど突飛な項目があるわけではなく、目的を明確にし、それに合わせて調査法の選択やリクルーティングを行う、という感じでした。

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・講義中に作った暫定の計画書

 

リサーチガイドは実際の調査時に使う資料で、インタビューであれば、調査の背景・目的やインタビュー対象者への説明、具体的な質問項目が書かれたシートになります。

質問項目設計時には、奥泉先生から

「立てた仮説について、それを検証する質問項目を考えるように」

との指示がでました。

 

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・質問事項の設計過程

 

これまで、調査段階では極力仮説を持たない方が良い、と思っていたため、

どういう意図かを講師の方々に聞いてみると、

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・できるだけ「バイアス」は持たないようにはする

・ユーザの「価値観」に対して仮説を持たないと、どんな質問をすればよいのかが

 分からないので、まずは考えてみる

・実際のインタビューでは、自分の持っている仮説の検証と、探索的な質問の両方を行い、比重としては探索的な質問をメインとする

・自分たちが考えた「サービス」に対しての仮説は持たない用が良い

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ということでした。

教科書などの言葉を鵜呑みにするのは良くないな、と改めて実感。

 

今回は宿題が出ており、次回までに対象者 1 人についてパイロット調査を行い、結果を報告します。

 

次回へ。

X Design Academy Basic #02 ビジネスインタビュー

X デザイン学校 Basic 2 回目の授業は「ビジネスインタビュー」。

 

UX デザインが広まって皆学ぶようになり、ユーザ調査から入ろうとしますが、そもそもお金にならないと成り立ちません。

そのため、まず初めに「ビジネスオーナーの意図」を知ることが大事とのこと。

 

今回はワークショップのテーマとなる企業の方に来てもらい、ビジネスインタビューが実施されました。

そして BMC (ビジネスモデルキャンバス) を書いて、現状のビジネスを可視化していきました。

 

自分たちの班は「旅行」がテーマです。

インタビューでは BMC の書き順に沿ってインタビューアーの方が質問していましたが、なかなか考えるポイントになりそうなものが見つかりませんでした。

先生曰く、

「既にビジネスモデルが固まっているので難しい」

とのことでしたが、インタビューの仕方を BMC に沿った順序ではなく、通常のユーザインタビューと同様に、時間軸に沿った聞き方をした方が、これまで実施してきた施策や意図について、もう少し深掘れるのではないかと思いました。

 

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その後、現状のビジネスをリフレーミングして、新しいビジネスを検討。

しかし、インタビューで出て来たことに基づく部分しか考えておらず、リフレーミングが全くできていなかったため、既にあるようなサービスしか考えられず。

その結果、発表では「どこが新しいの?」と突っ込まれることに。

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「現状のビジネスから考えるのではない」とは分かっていたものの、やはり同じ結果になってしまいました。

 

フィードバックとしては、ターゲットユーザを「シニア世代」と定めたところまでは問題なく、そこから提供価値を考える際に「旅」というテーマを一旦捨て、「シニア世代」が求めるものを考えて、リフレームするのが良いとのこと。

 

正直「ユーザが欲しているものは、ユーザインタビューなど質的調査しないと分からない」

と思っていたので、あまり妥当じゃないのでは?と思いましたが、後日、浅野先生のブログで以下のコメントが。

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「未来が描けないというのは、日頃の情報収集が疎かであるからだ。

 学ぶと言うことは「自分に何が足りないか知ること」なのだ。」

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。。。やる前から知っていないと駄目らしいです。

 

この分野を学ぶたびに、「UX の手法ってそんなに直接的には役に立たないのだなあ」と思うのですが、UX に限らず、何かを考える上でインプットの量は大事なのだなと実感しました。
 

とは言っても今の情報では話にならないので、宿題としてメンバー全員でデスクトップリサーチ + 再度リフレーミングすることに。

 

次回へ。

X Design Academy - Fieldwork Workshop

 

概要

6 月 24 日 (土) - 25 日 (日) に台湾で X Design 学校主催のワークショップが行われますが、その事前トレーニングとしてフィールドワークのワークショップが行われました。

メインの対象者は台湾ワークショップへの参加者でしたが、X Design 学校の Basic / Advance コース受講生も若干名参加可能であったため、紛れ込んできました。

 

テーマは「外国人の日本人化パターンを見つける」というもので、

・海外からの観光客・移住者を観察し、日本のシステムに溶け込んで ヘビーユーザになるパターンを見つける

・それを元に、インバウンド消費を促すサービスをデザインする

という流れです。

 

観察

まずは班に分かれて街に出て、外国人の旅行者を観察。

初めの説明が秋葉原で行われたため、自分の班はとりあえず電気街を周ることに。

 

エスノグラフィは 2,3 度やったことがありましたが、まだ結果に対して実感が湧いたことがなく、いつも何を見れば良いのかで悩みます。

とりあえずは「点」では無く「線」で観察することを意識し、外国人の方を見つけてはその後を付いて行き、何か共通する行動パターンが無いかを観察。

 

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・いきなり券売機を使わず、しばらく他のお客さんが買うところを見て買い方を覚えてから、自分で買いに行くところ

 

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・UFO キャッチャーで日本語の文字を対訳表(?)片手に読み解いている

 

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・家電量販店の美容家電コーナーで携帯片手に店員さんに聞いているところ

 

しばらく見た後、買い物が中心の秋葉原では観察が難しいかと思い、上野駅へ移動。

アメ横を中心に見て周りましたが、筆者はあまりこれという行動を発見することができませんでした。

 

パターン・ランゲージ作成

場所を渋谷に移し、観察結果を元にパターンを見つけるワークへ。

観察してきた行動の中で共通する「問題のパターン」を見つけ、それに対する「解決策」を考えます。

 

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解決法については、

「今々、困った外国人が取る行動」なのか、

「こういう時に日本人が取る行動」なのかが、

はっきり分かりませんでしたが、両方列挙していくことで、手本となる日本人の行動がまとまるのかもしれないなと思いました。

 

他の班の発表を聴いていると、観察場所について参考になる例がありました。

合羽橋の陶器屋に外国人観光客が来ていたのですが、「5 枚以上からしか買えない」という注意書きに気が付かず、上手く店員とコミュニケーションが取れていなかった、というケースです。

この場合、

「日本人でも(業者ではない)一般の人は合羽橋に陶器を買いに行かない」

ので、いくら「外国人観光客が日本人化」しても慣れることはなく、観察場所としては不適切とのこと。

飽くまで「外国人観光客が一般の日本人化する」というのが今回のポイントらしいです。

 

 

サービスの検討

最後は見つけたパターンを元に、インバウンド消費を促すサービスを検討。

 

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枠組み全体については、まだしっくり理解ができていませんが、外国人旅行者がベテラン化する過程を上手くデザインすることで、外国人が初回だけに留まらず、成長モデルに乗って継続的に来てくれる、という事なのかと思いました。


 

これまでフィールドワークでは KA 法という可視化手法を使ってまとめていましたが、この手法であればプロトタイプのインプットになるので、その先の作業がやり易そうに感じました。

ただし、

参考となる成長モデルが分かっており(今回は日本人旅行者が参考)、

その成長モデルを上ることがユーザへの価値になる(日本人と同じ生活が体験ができる)、

というのが適用条件としてありそうです。